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第3回「研究推進のための生成AI活用講座」開催報告

執筆: ChatGPT(神戸大・渡邉) 2026年1月16日

2026年1月16日に、大学・研究機関のURAおよび研究開発マネジメント人材を対象として、オンラインで「第3回 研究推進のための生成AI活用講座」を開催しました。 本講座は横浜国立大学 研究推進機構 URA育成教育研究センターとの共催で実施し、シリーズ最終回となる今回は「資金獲得実技編」をテーマに、 九州大学 URAの阿部恵祐氏が講演を行いました。 研究支援現場での実践を踏まえ、NotebookLMを中心とした申請支援、審査対応、研究構想の整理、さらにセキュリティや運用上の留意点まで、具体例を交えながら紹介されました。

1. 開催概要

2. プログラム

3. 講演内容要旨

(1) 審査員ペルソナと支援用AIの設計

講演冒頭では、第2回講座の質問を受けて、科研費データベース等の公開情報をもとに「審査員ペルソナ」を生成し、申請支援に活かす考え方が紹介されました。 課題名データを一定量集め、多様性や新しさを意識してAIに読ませることで、最近の審査傾向を踏まえた複数の審査員像を構成できる可能性が示されました。 また、独自性・創造性・社会的波及効果・学術的意義など、つまずきやすい観点を整理した「チェック用の観点セット」を組み込むことで、URAならではの支援ノウハウをAIに反映させる重要性も強調されました。

(2) デジタルクローンと公開情報を用いた構想支援

続いて、研究者の過去論文や研究概要をもとに「支援対象者のデジタルクローン」を作成し、研究構想や提案書作成を支援するアプローチが紹介されました。 あわせて、政策文書や事業情報、教員情報などの公開データをNotebookLMに集約し、目標となる事業から逆算して学内の強みを発見する「バックキャスティング型」の分析も実例として示されました。 人手では見落としやすい研究者や研究シーズが候補として浮かび上がることがあり、AIが新たな組み合わせや強みの発見を後押しする点が印象的でした。

(3) NotebookLMを軸にした申請支援の実践フロー

本講座の中心では、NotebookLMを活用した資金獲得支援の実務フローが解説されました。 募集要項、審査の手引き、研究者情報、過去の関連資料などを読み込ませたうえで、研究課題名や研究概要の候補を複数生成し、その中から有望な案を選んで提案書の叩き台に発展させる流れです。 生成された文章は、FeloやClaudeなど他のAIツールでブラッシュアップし、さらにAI SlidesやPowerPoint生成機能を使って可視化することで、 申請内容の不足や論理の飛躍を見つけやすくする工夫も紹介されました。 生成AIを単独で使うのではなく、役割ごとに複数ツールを組み合わせることが、実践上の重要なポイントとして示されました。

(4) 研究支援の周辺業務への展開

講演では、申請書支援にとどまらず、スタートアップ支援、バイオインフォマティクス分野の知識整理、 PMBOKの学習補助、課題名の共起分析、メタバースやシミュレーション的な活用など、多様なAIアシスタントの試作例も紹介されました。 研究者自身がこうした仕組みを見て、自分の専門領域に合わせて発展させていくことが期待されており、URAは新しい手法を試し、共有し、現場に橋渡しする役割を担えることが示唆されました。

(5) セキュリティ・法令・運用面での注意点

実践の一方で、情報管理や法令面への配慮も丁寧に共有されました。 たとえば、Webスクレイピングによる大量取得が制限されるサイトがあること、Researchmap等ではAPI利用が推奨されること、申請書や未公開情報を海外クラウド型AIに入力する行為が、場合によっては外為法上の論点を持ちうることなどが説明されました。 NotebookLMは比較的安全性が高いツールとして紹介された一方で、機密情報はむやみに投入せず、要約・匿名化・サマリー化したうえで扱うべきこと、また研究支援現場では「何をどこまで入力してよいか」のリテラシー共有が不可欠であることが確認されました。

(6) AI時代にURAへ求められる力

講演終盤では、AI時代のURAに必要な力として、構造化能力、編集力、美意識、判断力、倫理観、そして複数のAIを部下のように使い分ける「オーケストレーション」の力が挙げられました。 生成AIを便利な道具として受け身で使うだけでなく、どの情報を集め、どう整理し、何を価値として示すかを設計する力が、今後ますます重要になるというメッセージで講演は締めくくられました。

4. 質疑応答(主な内容)

5. まとめ

今回の講座では、生成AIを「文章生成の補助」にとどめず、審査理解、研究者理解、構想整理、提案書作成、可視化まで含めた一連の研究支援プロセスの中でどう組み込むかが具体的に示されました。 同時に、どのツールを、どの情報に、どの程度まで使うかという設計力と判断力こそが、URAにとって重要な専門性であることも再確認されました。 参加者との質疑応答も活発で、実務現場での試行錯誤を共有しながら学ぶ、本勉強会らしい実践的な回となりました。

6. 次回案内

講座の最後には、次回企画としてライトニングトーク回の案内がありました。 実際の業務で生成AIを活用している参加者が、それぞれの工夫や悩み、成果を持ち寄る場として予定されており、勉強会コミュニティ全体で知見を共有していく流れが引き続き期待されます。


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